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2018.06.15
アメリカ食品業界で最近フレキシタリアン (Flexitarian) という言葉がよく使われている。この言葉は合成語で、どちらにもなるという意味のフレックスと菜食主義者ベジタリアンを引っ付けた言葉で、1週間に1日あるいは2日、肉製品を食べず菜食で済ます人をいう。フレキシタリアンについては、今年の1月のこのカラムに「食の植物化」として、少し書いたが、今回はもう少し詳しくその動きと実際に販売されている商品などを紹介しながら書いてみることにする。2016年のHarris調査によると、消費者の37% が時々、あるいは全く動物性の食品を食べない食事をしているという。なぜ、最近、こうした動物性の食品の摂取を減らそうとするフレキシタリアンが増えてきているのであろうか。アメリカには魚や卵などの一部の動物タンパクを食べるベジタリアン、完全に動物性の食品を食べないビーガンといわれる人たちが3.2% がいる。それに加えて最近は時々肉製品を食べないフレキシタリアンが増えてきているのである。
これにはいくつかの理由が挙げられる。1つは最近消費者が環境問題に対して意識が高くなってきているからである。肉製品を作る家畜を育てるのに、アメリカでは牛では1㎏に対して約7kgの飼料が必要であり (写真1)、豚では約4㎏、鶏でも約2㎏が必要である。つまり肉を作るのに大量の穀類が飼料として使われているのである。ヨーロッパやその他の国では家畜を育てるのにそれほども穀類を使っていないが、穀類の多くは飼料として作られている。そのために広い農地と、水資源が使われている。また、農業からは大量のメタンが発生し、大量生産される家畜から出されるアンモニアの発生は温暖化にも影響を与えているとされる。
こうした環境問題に意識が高いのは特にミレニアル世代で、この世代の人たちにフレキシタリアンが多いと言われている。別の理由としては、最近の研究で肉製品の摂取が健康にはあまりよくないということが発表されており、動物タンパクよりも植物タンパクを食べる方がより健康的であると考える人が増えているからである。アメリカ栄養と栄養学アカデミーは2016年の12月に、その学会の意見として植物性の食事はタイプ2糖尿病のリスクを62% 減少し、心臓病や脳溢血のリスクも下げることができると発表している。また世界保健機構でも肉の摂取とガンとの関係を発表し、肉の摂取と健康との関係を考える消費者が増えて来ているのである。上記のHarris 調査ではフレキシタリアンの人の36% の人が健康を考えて肉を食べないとしている。実際、米国での牛肉の消費は農務省のデータでは、1970年にはアメリカ人一人当たり66.1kg食べていたのが、2016年には48.4kgと27% 減っている。
1月のコラム に紹介したBeyond Meatという会社は投資家からの資金を使い、大豆タンパクやソラマメのタンパクを主原料として作ったハンバーガー・パテと鶏肉製品を出している。最近、新しい製品として、ソラマメのタンパクと米のタンパクを使った “Beyond Sausage” (写真2) を出している。
この会社は、小売製品をWhole Foods Marketなどで販売しているが、約8,000店のレストラン、ホテル、大学のカフェテリア、野球場(T.G.I. Friday、ロサンゼルス・エンジェルスの球場など)にも販売している。 Impossible Foods社は世界の投資者や投資会社から4億ドル近くの資金を得て植物原料からのハンバーガー・パテを開発し、小売製品としてではなく、レストランだけに販売している。
Fat BurgerやWhite Castleのチェーンや多くのレストランでベジ・バーガー(写真3)として販売されている。最近ではアジアのレストランにも販売を拡大している。この会社のハンバーガー・パテの特徴は肉にも含まれているヘム(肉の赤色を出す分子である)を加えていることである。この会社の創始者で元スタンフォード大学の教授であるブラウン氏はイーストを発酵させてヘムを作り出し、これを成分として加えることにより肉のような味を出せるとしている。ヘムはどのような生物にも含まれており、パテを調理すると脂肪酸を肉の血のフレーバーを持つ分子に変え、肉の味をだすと説明している。
パテの成分の詳しいことは明らかにされていないが、小麦やポテト、ココナッツ油などを使っているという。現在この2社が投資家や企業から大きな期待をされており、出資を得ている。
Lightlife社は1979年からある肉代替え製品を販売する会社で、この会社はデリ・ミート、牛挽き肉代替え製品、鶏肉代替え製品、ソーセージ代替え製品、テンペなど(写真4)を製造し、小売店で販売している。この会社は大豆タンパクを中心にその他の植物性タンパクを使って製品を作っている。Sweet Earth社は植物で作った種々の肉代替え製品を出しているが、その代表的なものにはグルテンで作ったセイタン、大豆タンパクから作った肉代替え製品を使ったボウル製品、ブリート製品、朝食製品、ベーコン、ハム、ソーセージ、ベジ・バーガーのパテなどがある。

ベジ・バーガー(テリヤキ味)(写真5)の成分は、スイートポテト、活性小麦グルテン、玄米粉、エダマメ、醤油、玄米、バーレイ麦、キャロット、ゴマ、ピーマン、キノア、オニオン、砂糖、水、ネギ、セロリ、亜麻の種、ゴマの油、スパイス、栄養イースト(ナイアシン、ピリドキシン塩酸塩、サイアミン塩酸塩、葉酸、シアノコバラミンとして)、生姜ピューレ、米酢、酒みりん、海苔、ガーリック、しょうゆである。その他、多くの肉代替え製品を出している会社があるが、こうした製品の品質が向上してきており、ますます多くの人がベジ・バーガーなどを食べるようになり、フレキシタリアンになってきているのである。
フレキシタリアンが求める食品は肉代替え製品の他にも、牛乳の代替え製品があり、これには豆乳をはじめ、アーモンド・ミルク、カシューナッツ・ミルク、ヘーゼルナッツ・ミルク、マカデミア・ミルク、ヘンプ・ミルク、ココナッツ・ミルク、ライス・ミルクなどの様々な非乳飲料(写真6)がある。豆乳やアーモンド・ミルクはずいぶん前から乳製品にアレルギーの人達に飲まれていたが、最近は、フレキシタリアンが飲むようにもなってきており、特にアーモンド・ミルクの伸びは著しい。これはアーモンド・ミルクの味がいいからであるが、栄養的には牛乳や豆乳の方が優れている。


フレキシタリアンはこうした製品だけでなく、食事にも工夫をしている。肉のタンパクを補うためにナッツや豆腐、豆類などを使っており、48% の人がナッツや豆の混ざった穀類にドレッシングをかけたサラダが、ポテトと肉のディッシュと同じように満足であるとしている。こうした植物性の食事は脂肪やコレステロールを少なくし、食物繊維やビタミンを増やすことができる。
最近ジャックフルーツ (Jackfruit) を使った肉代替え製品(写真7)が販売されている。ジャックフルーツは日本ではパラミツと呼ばれている果実であるが、このフルーツの果肉、種皮肉には弾力や粘りのある食感がある。The Jackfruit社はこのパラミツを使った製品を製造する会社で、この果実の糖分が少ないまだ若い時に収穫し、肉と同じような食感の果肉、種皮肉を使って肉代替え食品を製造している。この若い果実の果肉、種皮肉部分は食物繊維が多く含まれているが、タンパク質は少ない。これに穀類、豆類を混ぜて肉代替え食品を作っている。“BBQ Jackfruit”, “Tex-Mex Jackfruit”, “Teriyaki Jackfruit”, “Curry Jackfruit”と最近、 “Jack Fruit Nuggets” を出している。例えば、“Curry Jackfruit” は、パラミツ(若いもの)、水、オニオン、ヒマワリ油、トマトペースト、ガラム・マサラ(コリアンダー、チリ、クミン、フェネル、カルダモン、ベイリーフ、クローブ、黒胡椒、スパイス)、ガーリック、塩、コリアンダー、ターメリック、シナモンで、これをそのまま食べられるし、またライスの上にのせたり、パンと食べたり、サンドイッチにしたりしても食べられる。肉代替え食品としては少し変わった製品である。
このように動物の肉を食べなくても結構植物タンパク質が十分含まれた食事をすることができる。今後はさらに植物性タンパクを使った製品が考え出され、フレキシタリアンは世界でますます増えてゆくと考えられている。
©アメリカ食品産業研究会
著者:吉田隆夫プロフィールを見る
吉田 隆夫 (よしだ たかお)
Takao Yoshida
1968
1968 - 1970
1972
1972 - 1974

1974 - 1985
1985 - 1990
1990
1999
2002
2016
大阪大学理学部化学科修士課程卒
マイアミ大学学術研究助手
大阪大学理学部化学科理学博士取得
シラキュース大学化学科学術研究員
*2010年ノーベル化学賞受賞 根岸英一氏「シラキュース大・根岸研究室」で協働
International Flavors & Fragrances 社 主任研究員
Carlin Foods/Bunge Foods 社国際事業部長
JTC インターナショナル創立
アメリカ食品産業研究会設立
e-食安全研究会設立
クリエイティブ食品開発技術者協会設立


インターナショナル食品安全協会会員、アメリカ化学会員、アメリカ食品科学技術者協会会員-プロフェッ
ショナル・フェロー、アメリカ食品産業研究会会長、e-食安全研究会理事長

学術論文:21(化学学術論文)、技術特許:40以上



e食安全研究会 理事長
アメリカ食品研究会 会長
クリエイティブ食品開発技術者協会 専務理事
理学博士
IFT 認証食品科学士

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