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2019.11.15
アーモンドは多くの人が愛するナッツでいろいろな製品に使われている。前々回にはピーナッツについて書いたが、今回はアーモンドについて書いてみよう。アーモンドは世界中で生産されているが、国連のFAO(世界食糧機構)によると、2017年の世界生産量223万トンの46% にあたる103万トンをアメリカが生産している。そのほとんどがカリフォルニア州の真ん中のサンワキン盆地で生産されている。アーモンドが実をつけるためには受粉が必要で、毎年受粉期にはアメリカのミツバチの半分がカリフォルニア州に移動してアーモンドの受粉のために働くという。アメリカはアーモンドの輸出国で、2017年には44億ドルのアーモンドが輸出されており、世界のアーモンド輸出量の67.5% に当たる。これほどアメリカはアーモンドを生産しているので多くの製品にアーモンドが使われている。アーモンドは殆どの人が好む味であり、また様々な食品との相性もいいので色々な製品に使われている。ちなみにアメリカ人は1年間に国民1人当り0.98kgのアーモンドを消費している。今回はそうした製品をここで挙げてみよう。
Blue Diamond Growersはカリフォルニア州にあるアーモンドの生産農家の協同組合で、現在で約3,500のアーモンド農家が加入している。この協同組合はアーモンドの生産を助けるだけではなく、アーモンド製品を作っており、“Blue Diamond Almond” のブランドで全国及び世界で販売している。
この会社が出す製品にはローストしたアーモンドに種々のフレーバーをつけたものや(写真1)、アーモンドの粉と米を使って作ったクラッカー製品 “Almond Nut-Thins”(写真2) などがある。またアーモンド・ミルク製品も “Almond Breeze” のブランドで出している。
アメリカ人は朝からアーモンドを食べている。朝食としてよく食べられるシリアル製品のいくつかにアーモンドが使われている。シリアルでも子供に人気のあるPost社の “Honey Bunches of Oats with Almond” やGeneral Millsの “Raisin Nut Bran”(写真3) にスライスしたアーモンドが入っている。最近、朝食としてよく食べられているグラノーラにもアーモンドがよく使われている。Nature’s Path社の“Honey Almond” やLow Karb社が出すグラノーラ “Keto Nut Granola” (写真4) がその代表例である。“Honey Almond” にはオーガニックオーツ麦、ローストしたアーモンド、チアの種と蜂蜜が使われている。“Keto Nut Granola” は最近はやっているケトジェニック・ダイエット(一般的にケト・ダイエットと呼ばれる)あるいはパレオ・ダイエット用である。ケト・ダイエットは炭水化物を極端に減らして、脂肪を多く摂取し、炭水化物の代わりに脂肪をエネルギーとして燃やしダイエットをするもので、最近アメリカ人の多くがこのダイエットをしている。パレオ・ダイエットは、狩猟時代の人類の食べ物を食べるもので、その頃は自然にある木の実や肉を中心にした食生活をしており、肥満、生活習慣病やガン、その他の現代病がなかったということをその根拠としている。
このダイエット法では、現代病の主な原因は農業と食品加工技術の発達で人が精製食品、加工食品を多く食べるようになったからだとする。人間の遺伝子は狩猟時代から本質的に変わっておらず、その時代に食べられていたような食品を食べ、運動をすることによって肥満を防げるというものである。このダイエット法は、加工食品、添加物、アルコールなどを避け、果物、野菜、脂肪の少ない肉類、海産物、ナッツ類、健康的な脂肪を中心としている。低炭水化物ダイエット法に近い。“Keto Nut Granola” の成分は、スライスしたアーモンド、ヒマワリの種、パンプキンの種、ココナッツのチップス、ペカン、エリスリトール、モンクフルーツ抽出物、バター、シナモンである。

以前、この欄でバー製品にはピーナッツがよく使われていると書いたが、アーモンドはそれに次ぐくらいよく使われていることが(写真5)で示されている。箱に入っているのは “Nature Valley” ブランドのスナックバーにアーモンドをそのまま入れた “Roasted Nut Crunch Bars” の “Almond Crunch” で、その手前の左側の商品は、同じブランドのプロテイン・バー “Peanut, Almond & Dark Chocolate” で、その横は “KIND” ブランドの“Nut Butter”という製品の “Honey Almond Butter”で、後述するアーモンド・バターと蜂蜜を使ったスナックバーである。一番手前の左側は Good Belly社の “Good Belly Probiotics” で、同じようにアーモンド・バターと蜂蜜にさらにプロバイオティクスを加えたバー製品である。最前列右のバーは “Cave Man” ブランドのパレオ・ダイエットに使えるバー製品 “Blueberry Almond” のグラノーラ・バー製品である。
乳製品や乳製品代替品にもアーモンドは良く使われている(写真6)。中段左側の商品はChobani社のヨーグルト製品 “Chobani Chocolate Greek Yogurt with Almond Butter” で、最近新しく発売されたものである。一番上段の商品はアーモンド・バターを使って作ったチーズ代替え製品で、Lisanatti Farm社が “The Original Almond Mozzarella Style”という商品名で販売するモッツァレラチーズ代替え品である。成分は、水、オーガニック・アーモンド(水とつぶして、フィルターしたもの)、カゼイン、カノーラ油、修飾スターチ、天然フレーバー、植物グリセリン、(2% の以下の成分)オリーブ油、リン酸ナトリウム、海塩、クエン酸、サイリウム皮(食物繊維)、リン酸カルシウムである。中段右側の製品は “Dairy Pure” ブランドのコッテージチーズで、スライスしたアーモンドがトッピングとして蓋の上に別に包装されており、これをコッテージチーズに混ぜて食べるものである。下段左側は “Fage” ブランドのヨーグルトでこれは容器が2部屋になっており、上のカバーを取り除いてスライスしたアーモンドが入った部分を回転させるように押し上げてヨーグルトの部分に入れて混ぜて食べるようになっている。その右は “Breyers” ブランドのアイスクリーム “Butter Almond” でバターとアーモンドを半分に割ったものを加えている。 

アーモンドは菓子類には多く使われており、アーモンド入りのチョコレート・バー製品などはよく知られているのでここでは取り上げない。クラッカーやクッキーにもスライスしたり、細粉にしたりしてアーモンドが多く使われている。アーモンドは牛乳の代替え製品としてアーモンド・ミルクとして最近多く飲まれている。これについては以前に植物性ミルク代替え製品で説明している。前に紹介したピーナッツバターと同じようにアーモンド・バターもよく売られている。その一例であるJEM Organics社が出している “JEM – Just Eat Me” ブランドのアーモンド・バター製品(写真7)はユニークで“Cinnamon Maca Almond Butter”, “Cashew Cardamom Almond Butter”, “Superberry Almond Butter” など他の成分を混ぜた製品を出している。その他、アーモンドを使っている製品
を(写真8)に載せた。サラダのトッピング(左)、ピラーフ(中)にも使われている。最近、グルテン・フリー製品が多く出されているが、そのためにアーモンド粉(右)が販売されている。このようにアーモンドは色々な形で利用されており、食品にアーモンドの香りと食感を与えて付加価値を出している。
©アメリカ食品産業研究会
著者:吉田隆夫プロフィールを見る
吉田 隆夫 (よしだ たかお)
Takao Yoshida
1968
1968 - 1970
1972
1972 - 1974

1974 - 1985
1985 - 1990
1990
1999
2002
2016
大阪大学理学部化学科修士課程卒
マイアミ大学学術研究助手
大阪大学理学部化学科理学博士取得
シラキュース大学化学科学術研究員
*2010年ノーベル化学賞受賞 根岸英一氏「シラキュース大・根岸研究室」で協働
International Flavors & Fragrances 社 主任研究員
Carlin Foods/Bunge Foods 社国際事業部長
JTC インターナショナル創立
アメリカ食品産業研究会設立
e-食安全研究会設立
クリエイティブ食品開発技術者協会設立


インターナショナル食品安全協会会員、アメリカ化学会員、アメリカ食品科学技術者協会会員-プロフェッ
ショナル・フェロー、アメリカ食品産業研究会会長、e-食安全研究会理事長

学術論文:21(化学学術論文)、技術特許:40以上



e食安全研究会 理事長
アメリカ食品研究会 会長
クリエイティブ食品開発技術者協会 専務理事
理学博士
IFT 認証食品科学士

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