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2020.01.15
昔は穀類を精製しないで人間は食べていた。ところが次第に穀類を作付けて農業化し、常食として食べるようになると、さらに穀類をおいしく食べるために胚芽も含めた外皮をきれいに取り除き胚乳の部分だけを食べるようになった。日本では銀シャリという言葉があるほど、磨いたお米が好まれている。西洋では小麦を精製してさらに漂白した漂白小麦粉がパンの原料になった。20年位前にアメリカのスーパーマーケットに行ってパンの棚を見るとほとんどが精製した小麦粉で作ったパンが並んでいた。全粒小麦粉で作ったパンも並んでいたが、人気はなかった。ところが最近では全粒小麦粉だけでなく、雑穀類や種子を混ぜたパンが半分くらいのスペースを占めている。全粒穀類は戻ってきたのである。よく考えるとコメや小麦を精製すると身体にいい成分が取り除かれているのである。せっかく入っている栄養素を捨てているのである。全粒穀類にはビタミン、ミネラル、その他の栄養素が豊富に含まれており、食物繊維も多く含まれており、健康によいことはこれまでにも多くの研究で示されている。全粒穀類を多く摂取していると生活習慣病である心臓病、糖尿病、ガンなどのリスクが低くなり、また体重コントロールにもよく、消化器系の健康にもよいことがわかっている。アメリカ政府は5年に1回国民の食生活の改善を目的に、食事ガイドラインを出している。その2005年版では、全粒穀類の入った製品を1日85g以上、あるいは穀類製品の半分以上は全粒穀類製品で摂取するように勧めた。そのために業界は全粒穀類製品を出し、それ以降全粒穀類製品はますます増えてきている。この20年くらいは食品市場で健康志向が続いていることもあり、全粒穀類はより健康的な食品として見直されてきたのである。全粒穀類には一般的にオーツ麦、小麦、ライ麦、蕎麦、バルガー麦、ミレー、バーレイ麦、スペルト、キノア(キヌア)、玄米、コーン、アマランス、チア等が含まれる。全粒穀類製品はアメリカではもうすっかり定着し、多くのカテゴリーの製品で出されている。
ベーカリー製品のカテゴリーでもっと大きいカテゴリーはパン(食パン)である。アメリカの食パンといえばふわふわで手で一切れを握りつぶすと小さなボール状になるくらいである。しかし、最近ではもっとしっかりした質感で食べごたえのある食パンも多くなっている。特に増えているのが全粒小麦粉を使った製品である。シアトルにあるベーカリー会社Franz Bakery(パン工場は地方のベーカリーが多い)は、普通の食パン(左)、全粒小麦の食パン(真中)、白全粒小麦の食パン(右)(写真1)の3種類の製品を同一ブランドで展開している。真ん中の全粒小麦の食パンは非常に濃い茶色をしている。右の白全粒小麦の食パンは、1990年代後半に開発された白い全粒小麦粉を使って作っている。白い全粒小麦粉はふすまに色素がない白小麦から作られた小麦粉で、栄養的には色のついた全粒小麦粉とあまり変わらない。
ふすまに色素のない白小麦は1900年代後半にアメリカで赤小麦の交配によって開発された。全粒穀類のパン“Ezekiel 4:7” (写真2)は非常にユニークなパンで、全粒小麦、全粒バーレー麦、全粒ミレー、全粒バーレイ麦、全粒スペルトの5種類の発芽した穀類に、発芽したレンチル(レンズ豆)と大豆を使っており、オーガニックの小麦グルテンとイーストと海塩が他の成分である。このパンは旧約聖書のエズキエルの4:7章に出てくる、「汝、小麦、バーレイ麦、豆、レンズ豆、ミレー、スペルトを一つの器に入れ、それでパンを作り」という一節の言葉に従って作られたものである。スペルト小麦は9,000年前から栽培されている古代の穀類である。このパンのように穀類を発芽させて粉にするのは、発芽を始めると栄養素が増えると同時に身体に吸収されやすくなるからである。発芽した穀類を使ったパンやその他の製品は多く出されている。その他、パン製品でいろいろな全粒穀類を組み合わせて使った製品がスーパーには並んでいる。全粒穀類パンも食べ慣れると結構おいしく感じるようになる。

アメリカ人は朝食にシリアルをよく食べる。シリアルの一種であるオートミールは全粒オーツ麦であるので、食物繊維が多く含まれている。中でも可溶性食物繊維であるベータ・グルカンが多く非常に身体によい。オーツ麦に含まれるベータ・グルカンは心臓病のリスクを下げる可能性があるとされており、健康効能表示ができる。最近よく売れているグラノーラは全粒オーツ麦が中心で、これに他の全粒穀類やナッツ類、種子類が使われている。つい最近発売された “Clif” ブランドの “Energy Granola” (写真3)にはアーモンド、パンプキンシード、トーストしたオーツ麦が使われており、朝に十分なエネルギーを得ることのできるグラノーラである。グラノーラやオーツ麦に乾燥フルーツやナッツを加えたミューズリも全粒穀類製品である。
パスタ製品でも全粒穀類を使ったものが非常に増えている。健康志向の市場にあった製品として全粒穀類の新製品が今でも多く出されている。例えば “Barilla” ブランドの “Whole Grain Penne” (写真4) は全粒のドラム小麦だけから作られているもので、食物繊維が豊富に含まれている。普通のパスタは精製されたドラム小麦から作られている。“Eden” ブランドのオーガニック “Kamut Spaghetti” (写真5)はカムット小麦で作られたスパゲッティである。カムット小麦はコーラサン小麦とも呼ばれ、6,000年前に人類が初めて栽培した小麦で、高たんぱくであるがグルテンが少なくパスタに適している。またオメガー3-脂肪酸も入っている。“Ronzoni” ブランドは、全粒小麦にキノア、アマランス、ミレー、ソーガム、テフの古代穀類を使って “100% Whole Grain Healthy Harvest Whole Wheat Pasta & Ancient Grains” (写真6) という商品名のペンネ・リガーテを出している。これらのパスタ製品は普通のパスタ製品よりも食物繊維も多く健康的である。

スナック製品でも最近では全粒穀類を使った製品がオンパレードである。Garden of Eatin’ 社のトルーティーヤ・チップス “Multi Grain” (写真7)は、白いコーンをベースにオーツ麦、蕎麦、アマニの種、ゴマ、バーレイ麦を混ぜて作られている。これらはすべてオーガニックの全粒穀類を使っている。PepsiCoのスナック部門であるFrito Layでは成型したチップス製品 “Sun Chips” (写真8)を出している、これはコーン、全粒小麦粉、玄米粉、オーツ麦粉の全粒穀類を使用しており、健康的で味のいいチップスである。
Crunch Master社のクラッカー “Multi-Seed Crackers” (写真9)は非常に日本のおせんべいに似た食感の六角形のクラッカーであるが、全粒玄米粉、コーン、オーツの食物繊維に4種類の種のブレンド(ゴマ、アマニの種、ミレー、キノア)を使っている。これの1サービング (30g) には、食物繊維が3g、タンパク質は2g含まれている。食べやすいおいしい健康的なクラッカーである。
その他、クッキー、ライスケーキ、パンケーキ・ミックス、ワッフル、ヌードル、タコ・シェル、ピッザ・ドウ、ケーキ、バー製品など多くの製品で全粒穀類が使われている。
食事ガイドラインでは1日の全粒穀類の推奨摂取量(48g)を満たすには、50% の全粒穀類製品を約85g以上食べる必要がある。全粒穀類協会では、消費者が全粒穀類製品にどのくらい全粒穀類が入っているかをわかるようにするために、全粒穀類シール(図1) を出している。左側のシールは全粒穀類だけでできている製品で、1サービングでの全粒穀類の量を記している。真ん中のシールは半分以上が全粒穀類で、1サービングに8g以上の全粒穀類が入っている製品につけることができる。右のシールは1サービングに全粒穀類が8g以上入っている限り、たとえ精製した穀類が全粒穀類より多く含まれている製品であっても使用することが可能である。全粒穀類製品が消費者に受け入れられるようになったのは、健康志向の市場と食事ガイドラインの影響も大きいが、全粒穀類協会のシールは消費者の全粒穀類に対する認識を高めることにつながったようである。最近の消費者調査でも、消費者の約3分の2の人が、全粒穀類製品を買うとしていることが示されており、これからも全粒穀類製品はさらに伸びてゆくであろう。
©アメリカ食品産業研究会
著者:吉田隆夫プロフィールを見る
吉田 隆夫 (よしだ たかお)
Takao Yoshida
1968
1968 - 1970
1972
1972 - 1974

1974 - 1985
1985 - 1990
1990
1999
2002
2016
大阪大学理学部化学科修士課程卒
マイアミ大学学術研究助手
大阪大学理学部化学科理学博士取得
シラキュース大学化学科学術研究員
*2010年ノーベル化学賞受賞 根岸英一氏「シラキュース大・根岸研究室」で協働
International Flavors & Fragrances 社 主任研究員
Carlin Foods/Bunge Foods 社国際事業部長
JTC インターナショナル創立
アメリカ食品産業研究会設立
e-食安全研究会設立
クリエイティブ食品開発技術者協会設立


インターナショナル食品安全協会会員、アメリカ化学会員、アメリカ食品科学技術者協会会員-プロフェッ
ショナル・フェロー、アメリカ食品産業研究会会長、e-食安全研究会理事長

学術論文:21(化学学術論文)、技術特許:40以上



e食安全研究会 理事長
アメリカ食品研究会 会長
クリエイティブ食品開発技術者協会 専務理事
理学博士
IFT 認証食品科学士

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