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2020.04.15
豆類は太古の昔から穀類に次いで人類が最も多く食べている食品である。一般に豆と呼ばれているものには多くの種類がある。日本豆類協会によるとマメ科 (Fabaceae) の植物には世界に約650属、18,000種があるとされ、食用としては70 – 80種の豆が世界で使われているそうである。よく使われているマメ科植物には、ササゲ属(アズキなど)、インゲンマメ属(インゲンマメなど)、ソラマメ属(ソラマメなど)、エンドウ属(エンドウマメ)、ヒヨコマメ属(ヒヨコマメ)、ヒラマメ属(ヒラマメ[レンズマメ])、ダイズ属(大豆など)やラッカセイ属(ピーナッツ)も入っている。英語では一般的には複数でビーンズ (beans) と呼ばれるがパルス (pulse) あるいはレガム (Legume) とも呼ばれている。アメリカの食品市場では種々の豆が多くのカテゴリーの製品に使われている。特に豆類は植物性たんぱくで置き換えた肉代替え製品やその他の製品に使われるようになり、たんぱく源として非常に関心がもたれるようになってきている。今回は、豆を使った製品を紹介するが、植物タンパクとしての肉代替え製品や乳製品代替え飲料は以前に紹介しているので、ここでは取りあげない。
豆が最近注目されているのはタンパク質を多く含み、さらに他の栄養素も多く含んでいるスーパーフードの1つで、幅広い食品のカテゴリーとして利用できるからである。メキシカン料理には豆がよく使われており、サイド・ディッシュ、スープ、野菜の一部、スナックとしても使われている。アメリカでは昔から豆とポークを煮た “Pork & Beans” (写真1) の缶詰が安くて簡便な食べ物として重用されてきた。今でもスーパーの棚には多くの製品が並んでいる。また種々の豆を混ぜたスープ・ミックス(写真2)なども昔から販売されている。これらもメキシカン料理からの影響であろう。
最近では、こうした豆をそのままの形状で利用した製品ではなく、豆類をいろいろな形状に加工した製品がスーパーでみられるようになってきている。最も多く出されているのはスナック製品で、これまで穀類だけで作っていたスナックの全部あるいは一部を豆類に置き換えたものである。例えば、ヒヨコマメの粉からパフの形に作られたスナック製品 “BIENA” (写真3) がある。これには “Blazin’ Hot”, “Aged White Cheddar”, “Vegan Ranch” の3種類のフレーバーがある。
Rare Fare Foods社は“Off the Eaten Path - Snacks for Curios” (写真4)という製品名で、“hummus crisps”, “chickpea veggie crisps”, “veggie crisps”, “veggie puffs” (Spicy Cheddar), “veggie puffs”(Sour Cream & Onion) の5種類のスナック製品を出している。最近の健康的なスナック製品の1つで、豆と野菜を使い、塩分も少なく、非常に美味しいスナックである。ポテトチップスなどに比べてずっと健康的なスナックである。
例えば、“veggie crisps” の成分は、米粉、ヒマワリ油、乾燥グリーンピース、乾燥黄色豆、乾燥黒豆、海塩、混合トコフェロール(保存料)である。Macro Snacks社は炭水化物、脂肪、タンパク質の3つのマクロ栄養素のバランスが取れたスナック製品 “Macro Snacks” (写真 5)を出している。これは炭水化物が45%、脂肪が25%、タンパク質が30%含まれた植物性の健康的なスナック製品で、単離豆たんぱく、ヒヨコマメ、玄米粉から作られている。“Spicy Chili Lime”, “Churro Loco”, “Rockin’ Ranch”, “Pizza Pie” の4種類のフレーバーが出されている。このスナックは炭水化物がエネルギーを保ち、タンパク質が筋肉の回復をし、脂肪がホルモンのバランスを保つと謳っている。豆類を使ったスナック製品はより健康的なスナックとして位置付けられているものが多い。
カリフラワーをライス代わりにする製品が出されているが、Seapoint Farms社はエダマメをライス代わりにする製品 “Riced edamame” と “Riced Medley” (写真 6) を出している。“Riced edamame” はエダマメを細かくカットしたもので、“Riced Medley” は細かくしたエダマメ、カリフラワー、スイートポテトを混ぜたもので、100% グレイン・フリー、グルテンフリー製品である。これらの製品はナトリウムが少なくカロリーも低く、高タンパク質であるためヴィーガンの人達だけでなく、低糖質ダイエットやパレオ・ダイエットをしている人達も、これを食事の一部として利用できる。
“RightRice” ブランドの野菜ライス(写真7)は、90% がヒラマメ粉、ヒヨコマメ粉およびエンドウマメの食物繊維で、それに10%の米粉をブレンドして作られていて、タンパク質は10g (普通の白米は4g)、繊維は5g(普通の白米はほぼゼロ)と、白米に比べて正味炭水化物は約36% 少ない。貯蔵安定性のある乾燥穀物であり、普通の米のような見た目と味で、カリフラワーライスとは異なる。“RightRice” 野菜ライスは、ソースなどを吸収し、何にでも合い、オリジナル、レモン・ペッパー、スパニッシュ、ガーリックハーブの4種類があり、深鍋にお湯と一緒に入れて加熱すれば、10分で食べられる。
ミール製品でも豆を使った製品が増えている。例えば、B&G Foods社は “Green Giant” ブランドで野菜ミール製品 “Harvest Protein Bowl” (写真8)を4種類出している。これらには12g – 15gの植物性タンパクが含まれており、そのまま食事として食べることができる。エダマメを使っており “Asian Style”, “California Style”, “Italian Style”, “Southwest Style” の4種類がある。“Asian Style” の成分は、調理済み小麦粒、エダマメ、グリルした赤ピーマン、キャロット、調理済みキノア、ベービーコーン、シュガースナップ・ピーズ、水、醤油、黒砂糖、生姜、大豆油、コーンスターチ、ゴマ、ゴマ油ガーリック、米酢、塩である。
すぐに食べられるサラダ製品にも豆を混ぜた製品が出されるようになった。例えば、Azuma社が出している “Edamame Salada” (写真9)がある。アメリカではエダマメはすっかり定着し、英語になっている。
豆たんぱくは前に紹介した肉代替え製品に多く使われるようになったが、肉代替え製品以外にもツナの代替え製品として使われているケースがある。Good Catch社は “Good Catch” ブランドで、単離豆タンパク、濃縮大豆タンパク、粉末ヒヨコマメ、レンチル・タンパク、ソラマメ・タンパク、ネイビービーンズ・タンパクの6種類のタンパクを混ぜて作ったツナの代替え製品(写真10)をだしている。この製品には藻から採取された油がオメガ-3-脂肪として使われている。同社では将来、缶詰ツナ、クラブケーキなどの製品を出す予定である。またマヨネーズでも、卵を使わずに豆を使った代替え製品が出されている。
Sir Kensington's社の “Fabanaise” ヴィーガン・マヨネーズ(写真11)は、2番目の主成分としてアクアファバ(ヒヨコマメのゆで汁から作った粘性液体)を使っており、大変な成功を収めている。さらに、アクアファバで、水、ココナツオイルおよび植物ベースの液体オイルをつないだ代替バター “Faba Butter”(写真12) をFora社が販売している。この植物ベースの代替バターは、クリーミーで、乳製品のような口当たりがし、味や熱による変化もバターに似ている。
フレーバーと機能性の点で譲歩していない、より持続可能な植物ベースのオプションだという。アクアファバは、ヒヨコマメのタンパク質と澱粉を吸収した、クリーンラベルでナチュラルな乳化剤になるので、今後活躍しそうな成分になりうる。Fora社は、現在、アクアファバを使ってホイップクリーム、ドレッシング、アイシングなどの様々な製品開発に取り組んでいる。このように豆を使った食品は増えつつあり、日本の食品にも豆をもっと使ってみてはどうだろうか。
©アメリカ食品産業研究会
著者:吉田隆夫プロフィールを見る
吉田 隆夫 (よしだ たかお)
Takao Yoshida
1968
1968 - 1970
1972
1972 - 1974

1974 - 1985
1985 - 1990
1990
1999
2002
2016
大阪大学理学部化学科修士課程卒
マイアミ大学学術研究助手
大阪大学理学部化学科理学博士取得
シラキュース大学化学科学術研究員
*2010年ノーベル化学賞受賞 根岸英一氏「シラキュース大・根岸研究室」で協働
International Flavors & Fragrances 社 主任研究員
Carlin Foods/Bunge Foods 社国際事業部長
JTC インターナショナル創立
アメリカ食品産業研究会設立
e-食安全研究会設立
クリエイティブ食品開発技術者協会設立


インターナショナル食品安全協会会員、アメリカ化学会員、アメリカ食品科学技術者協会会員-プロフェッ
ショナル・フェロー、アメリカ食品産業研究会会長、e-食安全研究会理事長

学術論文:21(化学学術論文)、技術特許:40以上



e食安全研究会 理事長
アメリカ食品研究会 会長
クリエイティブ食品開発技術者協会 専務理事
理学博士
IFT 認証食品科学士

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