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2018.03.15
古代の穀類 (エーシェント・グレイン)というのがこの10年間くらいに次第にアメリカの食品に使われるようになった。特にエーシェント・グレインという定義はなく、昔から品種改良されてこなかった麦類(アインコーン、カムート(商品名)、ファロ、スペルトなど)、キヌア、アマランス、ミレー、ソーガム、テフ、チア(写真)などの昔に使われていた穀類で、赤米や黒米、紫コーン、ワイルド・ライス、ソバなども含めて呼ばれていることがある。それぞれの植物の写真を見てわかるように、どちらか言うと種子類である。キヌア、アマランス、ミレー、ソーガム、テフ、チアなどが最も注目されている古代の穀類である。



小麦、コーンや米は人間が長い間かけて改良して、現在のような収量が高く、また病虫害にも強く、おいしく食べられるものにされてきた。さらに小麦粉や米は精製されて、小麦粉や白米には栄養素が少なくなっている。

こうした古代の穀類は最近その栄養価が高いことから見直されている。しかしながら全粒小麦や玄米などは同じように栄養価が高い。こうした古代穀類がもてはやされるようになったのは、これらの穀類は農薬も使われていないので、自然有機食品業界で使われるようになり、それが一般食品業界にも広まっているのである。

また麦類以外の古代の穀類はグルテンを含まないので、最近増えているグルテン・フリーの製品として使われている。キヌアは南米の山間部で7000年前から作られ食べられていた穀類で、タンパク質が多く、アミノ酸組成のバランスがとれており、抗酸化剤であるケルセチンが含まれている。2型糖尿病や高血圧などの人の健康にいいとされている。

インカ文明で使われていたアマランスは白米の2倍のタンパク質が含まれており、必須アミノ酸のリジンが多く含まれており、美容効果があると言われている。消化もよく、ビタミン類や抗酸化剤も含まれているので、免疫性や抗加齢効果なども言われている。

ミレーはインドやアフリカの一部で1万年以上前から栽培されているもので、日本でもアワとして大昔から使われており、タンパク質が多く含まれ、ビタミンB類とくに葉酸も多く含まれている。 ソーガムはイネ科の植物で、アフリカなどで主食として食べられている。モロコシ、コーリャン、タカキビも同じ類である。全粒のソーガムはたんぱく質、食物繊維、ビタミンB類が多いが、消化性は低い。
テフは非常に小さな種で食物繊維、タンパク質、マンガン、鉄分、カルシウムが多いが、テフは殆どがエチオピアでできるので、国内での消費がほとんどであまり手に入らない。
チアは南米で多く生産されているが、オーストラリアなど他の国でも栽培が増え、その供給もかなり増えたので多くの製品に使われるようになった。

28gのチアにはタンパク質が4g、オメガ-3-脂肪が多く含まれている脂肪が9g、食物繊維が11gも含まれており、これらの古代穀類では最も栄養価の高いものである。チアを食べているとダイエットができるとか、心臓病のリスクが低くなるというようなことが言われているが、Web Mdによると、臨床実験などでダイエット効果は観察されなかったという。また、その他の効果もあるという確実な証拠はこれまでの研究では示されていないとしている。しかしながら、こうした古代の穀類や全粒穀類は食物繊維が多く、ビタミンB類やミネラルが豊富なので、食事の一部として摂取することは身体にはよい。日本でもチアやキヌアを使った製品が少し見られるようになっているが、アメリカの市場では非常に多く出されている。古代の穀類を使った製品をここに紹介してみよう。
シリアル製品

PepsiCoの部門で、オートミール製品のトップ・メーカーのQuaker Oatsは、“Super Grains” のインスタント・ホット・シリアルと “Real Medleys” シリーズのグラノーラ製品(写真1)を出している。インスタント・ホット・シリアルは、オーツ麦、バーレイ麦、ライ麦、亜麻仁、キヌアが入っており、“Honey Almond” と “Apple Cinnamon” の2種類のフレーバーで出している。“Real Medleys”のグラノーラには、オーツ麦、小麦、亜麻仁、キヌア、ヒマワリの種、アマランス、バーレイ麦を使っており、“Cinnamon Apple Walnut” と “Blueberry Pecan” の2種類を出している。
(写真2)はNature’s Path Organic Foods社のオーガニックのスーパーフード、発芽穀類を使った “Qia Superflakes” である。この製品は高タンパクで食物繊維が多く含まれ、1日のエネルギーを保つことができる。またこのシリアルは砂糖が少なく、グルテン・フリー、Non-GMOである。この1サービングには、タンパク質が5-6g、食物繊維が6-7g含まれており、甘味にはココナッツ砂糖と蜂蜜を使っている。穀類には発芽したものを使っている。“Honey Chia”は発芽ソーガム、全粒コーン、チアシード、 “Cocoa Coconut” には発芽黒豆、全粒コーン、チアシード、 ココナッツ、“Coconut Chia” は発芽ソーガム、全粒コーン、チアシード、ココナッツを使っている。
自然食品でグルテン・フリーの製品を出すBakery On Main 社は、“Bunches of Crunches” の“Superfood GRAINOLA”(写真3)を出している。朝食のシリアルとしてもスナックとしても食べられるもので、“Coconut Cacao” と “Chocolate Sea Salt” の2つのフレーバーで出している。この製品はオーツ麦、アマランス、ミレーの古代の穀類、スーパーフードとしてチアの種を使ったグラノーラである。グルテン・フリーとNon-GMOの認証マークをつけている。
パスタ製品

古代の穀類はパスタ製品にも使われている。(写真4)は、Andean Dream LLC社の “Andean Dream” ブランドの、スーパーフードと言われているキヌアを使ったグルテン・フリーのスパゲッティー “Quinoa Pasta” で、成分は米粉とキヌア粉だけである。ナショナルブランドである Ronzoniは “Healthy Harvest” のシリーズで、キヌア、アマランス、ミレー、ソーガム、テフを全粒ドラム小麦と混ぜたペン・リガテ(写真5)を出している。


スナック製品

トルティーア・チップスは、普通はコーンで作っているが、この(写真6)の製品は古代の穀類で作ったもので、Boulder Canyon社の “Ancient Grain” で、キヌア、ミレー、チア、アマランス、玄米、テフ、ソーガムを使ったものである。Sprout社は幼児用の食品を出す会社であるが、幼児が食べるスナック製品にも古代の穀類を使っている。(写真7)の “Organic Ancient Grain Crisps” はすべてオーガニックの玄米、ソーガム、リンゴのピューレ、玄米シロップ、アマランス、キヌア、オーツ麦粉、カノーラ油、砂糖、シナモンとビタミンE(保存料)から作った成型チップスで、子供が食べやすいようにしている。

バー製品にも使われており、Pure Organic社のオーガニックのバー製品(写真8)には古代穀類ブレンド(キヌア、玄米、アマランス、亜麻仁、ヘンプ・シード)が使われている。これ以外にもチップスやプリッツェル、クラッカーなどのスナック製品に古代穀類を使ったものが多く販売されている。


スムージーミックス、ヨーグルト、サラダ製品

Inventure Foods社の “Jamba Juice” ブランドのスムージー・キット製品 “Protein Smoothies” (写真9)にはオーツ糠、アマランス、キヌア、そば粉、ミレー、チアシードが入っている。“Berry Awesome Açai”, “Pomegranate Pick-Me-Up” の2種類のフレーバーの製品があり、リンゴジュースなどと混ぜてスムージーを作る。グリーク・ヨーグルトを出すChobaniは、キヌア、アマランス、チアを加えたグリーク・ヨーグルトを出している。(写真10)のヨーグルトには低脂肪のヨーグルトにストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、オーツ麦、キヌア、ソバ、アマランス、チアを加えて健康志向の人を引き付けている。古代穀類はサラダのトッピングにも使われている。
(写真11)のReady Pac Foods社のオーガニックのサラダ “ElevAte” でスプリングミックス・レタスに、キヌア、小麦、キャロット、赤キャベツ、レーズン、スライスしたアーモンド、をトッピングして、オレンジ・ビニグレ・ドレッシングをつけた “Baby Greens & Ancient Grain Salad” を出している。

このようにアメリカの食品には古代の穀類が多くの製品に使われており、その健康的なイメージを製品に出そうとしている。また、こうした製品にはナッツ類が一緒に使われているものも多く、ナッツが味や食感、健康性に利用されている。
©アメリカ食品産業研究会
著者:吉田隆夫プロフィールを見る
吉田 隆夫 (よしだ たかお)
Takao Yoshida
1968
1968 - 1970
1972
1972 - 1974

1974 - 1985
1985 - 1990
1990
1999
2002
2016
大阪大学理学部化学科修士課程卒
マイアミ大学学術研究助手
大阪大学理学部化学科理学博士取得
シラキュース大学化学科学術研究員
*2010年ノーベル化学賞受賞 根岸英一氏「シラキュース大・根岸研究室」で協働
International Flavors & Fragrances 社 主任研究員
Carlin Foods/Bunge Foods 社国際事業部長
JTC インターナショナル創立
アメリカ食品産業研究会設立
e-食安全研究会設立
クリエイティブ食品開発技術者協会設立


インターナショナル食品安全協会会員、アメリカ化学会員、アメリカ食品科学技術者協会会員-プロフェッ
ショナル・フェロー、アメリカ食品産業研究会会長、e-食安全研究会理事長

学術論文:21(化学学術論文)、技術特許:40以上



e食安全研究会 理事長
アメリカ食品研究会 会長
クリエイティブ食品開発技術者協会 専務理事
理学博士
IFT 認証食品科学士

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