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2020.05.15
アメリカの食品市場ではベジタリアンフードが増えている。ベジタリアンにも厳しく動物性の食品を一切食べないヴィーガンと、卵などは食べる、あるいは魚介類などは食べるという緩いベジタリアンがいる。ギャロップの2018年の調査によると、アメリカの大人の5% が自分はベジタリアンであると述べている。白人(3%) よりも有色人種(9%) のほうがベジタリアンの人が多い。また55歳以上の高年齢層の人は2% と少なく、18歳から34歳までの人が8% と多く、35歳から54歳までの人は7% で、若い人の方がよりベジタリアンである傾向が強い。非常に興味あるのは保守系 (2%) の人よりはリベラル系 (11%) の人のほうが多く、中道系は3% と少ない。この傾向はオーガニックフードについても同様である。ベジタリアンに加え、最近はフレキシタリアンと呼ばれる基本的には野菜中心だが、時には肉や魚も食べるという若い人が増えてきており、こうした傾向がベジタリアンフードの増えている要因となっている。今回紹介する製品は、これまでにすでに紹介した植物性原材料を使った肉代替え製品や乳製品代替え製品、更には普通の野菜、果物だけを使用したベジタリアンでも食べられる製品は除き、ベジタリアンでない人でも興味を惹かれる製品だけを取り上げた。フレキシタリアンが増えている中、こうした製品は肉の消費量が少なくなっている昨今のより広い消費者層をターゲットにしている。
ベジタリアンの人は普通の食事には野菜、果物、豆類、穀類を使用すれば問題がないので、冷凍ミール食品ではベジタリアンフードは少なかった。最近出てきているのは、野菜、全粒穀類を使ったミール製品である。例えば、Del Monte Foods社は野菜だけを使った “Veggieful Veggie Bowl” (写真1) を出している。この野菜ボウル製品には、“Southwest Style Corn Veggie Bowl”, “Asian Style Soy Sesame Veggie Bowl”, “Roasted Red Pepper Veggie Bowl”, “Garlic Herb Veggie Bowl” の4種類がある。
“Southwest Style Corn Veggie Bowl” はコーン、黒豆、角切りトマト、玄米、キノア、ハラピーノと赤ピーマンのソースが入っており、ソースを混ぜて加熱して食べる。The Kraft Heinz社は新しく “Amazing Grain” ブランドを作り、古代穀類を使ったボウル製品を発売している。“Amazing Grain Fusion Bowls” (写真2)は野菜、ソース、バーレイ麦、キノア、ミレーの古代穀類を使ったミール製品で、“Chipotle”, “Ginger Teriyaki”, “Lemon Herb”, “Margherita” の4種類を出している。これらには8–10gのタンパク質が含まれており、エネルギーは280 - 330 カロリーである。いずれも動物性たんぱくを含まないベジタリアン製品である。B&G Foods社は “Green Giant” ブランドで野菜ミール製品 “Harvest Protein Bowl” (写真3) を4種類出している。これらには12–15gの植物性タンパクが含まれており、そのまま食事として食べることができる。
“Asian Style”, “California Style”, “Italian Style”, “Southwest Style” の4種類がある。“Asian Style” の成分は、調理済み小麦粒、エダマメ、グリルした赤ピーマン、キャロット、調理済みキノア、ベービーコーン、シュガースナップ・ピーズ、水、醤油、黒砂糖、生姜、大豆油、コーンスターチ、ゴマ、ゴマ油ガーリック、米酢、塩である。こうした製品はベジタリアン、フレキシタリアンだけでなく、最近流行っている炭水化物を減らすダイエットであるケトジェニック・ダイエットやパレオ・ダイエットなどをしている人にも食されている。
Cedarlane 社は豆や大豆タンパクを使ったヴィーガンでも食べられるオーガニックのベジタリアンの冷凍ミール製品として、“Simply Plant Powered” (写真4) と大きく表示した製品を、“Penne Alfredo with Peas & Cheeze”, “Ranchero Tofu Scramble”, “Butternut Squash & Pumpkin Mac & Cheeze”, “Creamed Spinach & Kale with Swiss Chard” の4種類のフレーバーで出している。それぞれ、10g, 20g, 11g, 9g のタンパク質が含まれている。“Cheeze” とあるのは乳製品としてのチーズではなく、タピオカスターチ、ココナッツ油、カノーラおよび/あるいは紅花油、天然フレーバー、海塩、単離ポテトタンパク、リン酸3カルシウム、乳酸(ヴィーガン用)、粉末藻類、こんにゃく粉、キサンタンガム、イースト抽出物から作られたチーズ代替え品である。
カリフォルニア州Haywardにある、あずまフーズ社のアメリカ子会社Azuma Foods Internationalは、アメリカ国内で日本の食材を提供する会社で、海草製品、寿司用製品を始めとする様々な日本食材やフードサービス製品を販売している。最近、小売り用のサラダ製品として海草、エダマメ、キノアなどを使ったベジタリアン・サラダ製品、“Seaweed Salad”, “Seaweed Salad Delight”, “Hijiki Quinoa Salad”, “Wild Rice Edamame Salad”, “Edamame Salad”, “Seaweed Salad with Quinoa” (写真5) を出している。
最近、アメリカでは海藻への関心が高くなっている。Feel Good Foods社はグルテン・フリーの食品を出す会社で、米粉やスターチを使った生地で巻いた冷凍のポットスティッカー(餃子)やスナック、メキシカンフードを出している。製品には肉を使った製品が多いが、ベジタリアンのための製品を最近出している。(写真5)の左の製品は “Vegetable Potstickers” で、右は “Vegetable Empanadas” である。 エンパナーダはスペインの具入りのペイストリーである。
スナック製品にもベジタリアン用とした製品が増えている。例えば、Doctors in the Kitchen社の発芽させたヒマワリの種、亜麻の種、チアの種を使って作られた生のグルテン・フリーのスナック製品 “Seedsters Sprouted Seed Snack”(写真6)は食物繊維、プロテイン、オメガ-3-脂肪を多く含んだ健康的なスナックである。種子類は発芽させると含まれているビタミン、ミネラルなどの栄養素が身体に吸収されやすくなることからアメリカでは発芽穀類、発芽種子類などがよく使われている。このスナックは “cinnamon & currants” と “sweet onion & garlic” の2種類のフレーバーで出されている。スナック・バー製品の多くは動物性の成分が入っていないのでベジタリアンでも食べられるが、Yes! Bar社が出しているバー製品(写真7)は特にヴィーガンが好むフレーバーになっている。
従来から“Macademia Chocolate”,“Strawberry Coconut”,“Black Sesame Sea Salt”,“Coffee 'N' Chocolate” を出していたが、最近それに加えて “Dark Chocolate Chip”,“Salted Maple Pecan” というベジタリアンの特に好むフレーバー製品を出した。Yes! BarのYesは “Yes for Vegan” の意味だそうである。このようにベジタリアンでも食べられる製品が多くなっているが、ベジタリアン食はタンパク質の摂取が少なくなる傾向があるので、植物性タンパク質を多く入れた製品が多い。もちろん、こうした製品は誰でもが食べられるもので、フレキシタリアンなども利用している。
©アメリカ食品産業研究会
著者:吉田隆夫プロフィールを見る
吉田 隆夫 (よしだ たかお)
Takao Yoshida
1968
1968 - 1970
1972
1972 - 1974

1974 - 1985
1985 - 1990
1990
1999
2002
2016
大阪大学理学部化学科修士課程卒
マイアミ大学学術研究助手
大阪大学理学部化学科理学博士取得
シラキュース大学化学科学術研究員
*2010年ノーベル化学賞受賞 根岸英一氏「シラキュース大・根岸研究室」で協働
International Flavors & Fragrances 社 主任研究員
Carlin Foods/Bunge Foods 社国際事業部長
JTC インターナショナル創立
アメリカ食品産業研究会設立
e-食安全研究会設立
クリエイティブ食品開発技術者協会設立


インターナショナル食品安全協会会員、アメリカ化学会員、アメリカ食品科学技術者協会会員-プロフェッ
ショナル・フェロー、アメリカ食品産業研究会会長、e-食安全研究会理事長

学術論文:21(化学学術論文)、技術特許:40以上



e食安全研究会 理事長
アメリカ食品研究会 会長
クリエイティブ食品開発技術者協会 専務理事
理学博士
IFT 認証食品科学士

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