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2017.12.15
トレイル・ミックス

アメリカのスーパーに行くとナッツ類を置いているところに “Trail Mix”(トレイル・ミックス)と書いた商品がある。よく見るとナッツやグラノーラ、乾燥果物、チョコレートなどを混ぜたものでほとんどが袋に入っている。このトレイル・ミックスはもともとハイキングや山登りをする人たちが、持ち運びがしやすいエネルギー価の高いピーナッツ、ナッツ、レーズンなどを混ぜて持ち歩いていたのが進化して、現在のような製品になったものである。

中に混ぜられる原料としては、アーモンドやカシューナッツのような木の実、ピーナッツ、炒った大豆、乾燥フルーツ(クランベリー、レーズン、アプリコット、リンゴ、バナナなど)、チョコレート・チップス、チョコレート(砕片、チップス)、M&M’s、シリアル、グラノーラ、ヒマワリやパンプキンの種、乾燥ココナッツの実(砕片)、砂糖漬けのジンジャーなどが使われる。こうした原料の栄養成分には健康効能が言われているものも多い。

栄養価の高いトレイル・ミックスは、世界の市場で今年0.8% 増の66憶2,000万ドル規模になると、Euromonitorが予想している。アメリカではナッツ製品とトレイル・ミックスの売り上げは2016年には15億ドル近くになるとされており、スーパーフードの地位を獲得しつつある。

トレイス・ミックスはその名のとおりハイキングや山登りの時に消費されると思われがちであるが、実は、ほとんどは別の機会に食べられている。18歳から34歳までの若い人が消費の中心の層で、スポーツをするときにエネルギーの補給として、あるいは単にスナックとして食べられている。特にミレニアム世代はスナックを食べることが多く、トレイル・ミックスを食べる人も多い。また女性で食事代わりやスナックとして利用する人も多い。ダイエットをしている人もこれで少し空腹を満たすことができるので、持ち歩いている人もいる。つまりアメリカでは普段の食品として利用されているのである。

なぜトレイル・ミックスが喜ばれるかというと、まず加工度が低いので自然食品であるということ、健康的な食品の混合物であり、タンパク質や食物繊維が多く、エネルギーとしての炭水化物も含まれていることと、さらに持ち運びもでき便利な食品であるためである。

トレイル・ミックスの典型的な製品として、Tropical Foods社の出しているトレイル・ミックス “GRABEEZ”(写真1)は、レーズン、ヒマワリの種、カシューナッツ、アーモンド、パンプキンの種、ピーナッツ油(少しスプレーすることにより乾燥を防ぐ)のミックスである。この製品は再封ができるようした変わった包装に入っている。

この会社は他に種々なナッツや種や乾燥フルーツなどを混ぜたスナック・ミックス製品も出している。Orchard Valleyが出しているトレイル・ミックスには “Chocolate Raisin Nut”(チョコレートでコーティングしたレーズン、アーモンドとピーナッツのミックス) と “Cranberry Almond Cashew”(乾燥して甘味を付けたクランベリー、アーモンド、カシューナッツのミックス)(写真2)がある。

この会社は最近 “Antioxidant Mix” として、乾燥して甘味を付けたクランベリー、乾燥ブルーベリー、カシューナッツ、ペピタス(パンプキンの種)のミックスと、“Heart Healthy Mix” として、アーモンド、乾燥して甘味を付けたクランベリー、クルミ、ヒヨコマメのミックスを出しているが、“Trail Mix” とは書いていない。これらは特に健康志向の製品として出している。“Planters” はKraft Foods社(現在はKraft Heinz社)のナッツ製品のブランドであるが、このブランドでトレイル・ミックス製品をいくつか出している。“Nuts & Chocolate Trail Mix” (写真3)は、ピーナッツ、チョコレート・キャンディーの “M&M’s”、レーズン、アーモンドのミックスである。他社のブランドのチョコレート・キャンデイーを使っているが、アメリカではこうしたダブル・ブランドにした製品は多い。“Planters” のトレイル・ミックスには、他に “Tropical Fruit & Nut”, “Nuts, Seeds, & Cranberries”, “Peanut Butter Chocolate”, “Spicy Nuts & Cajun Sticks”, “Sweet & Salty” などフレーバーを付けたものも出している。

最近のトレイル・ミックス製品は非常に多岐にわたる異なった原料を混ぜて健康効果を示唆する製品が増えてきている。また、トレイル・ミックスをバー製品にしてさらに持ち運びがしやすくした製品も出されている。その例としては、“Kashi” ブランドの “Trail Mix Chewy Granola Bar”(写真4)がある。これはグラノーラ(全粒オーツ麦)、アーモンド、玄米粉、オーツ麦繊維、ヒマワリの種、レーズン、乾燥クランベリーを混ぜたものである。



種を使った製品

種というと穀類、豆、花の種、草の種など色々あるが、その中で穀類や豆類など主食あるいは副食として使われるもの以外の種子がこの20年くらいに注目されるようになり、スナック製品などに使われたり、シリアルに混ぜて使われたりしてポピュラーになってきている。上記のトレイル・ミックスでも使われているが、ヒマワリの種やパンプキンの種など種子を使った製品はアメリカではよく見かける。

ヒマワリの種は世界ではウクライナ、ロシアで全生産量4,450万トンの約半分が生産され、アルゼンチン、中国が3,4位である。ヒマワリの種にはビタミンE、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB3(ナイアシン)、銅、マンガン、セレン、リン、セレン、マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれており、食用油として搾油されているが、種そのものもスナック製品に使われている。アメリカの野球メジャーリーグのダッグアウトには皮付きの炒ったヒマワリの種が置かれており、選手やコーチ陣が試合中にこれを口にほり込んで、その皮を口からはいているのを見たことがある人もいると思う。ストレスを解消し、同時に栄養を補給できるスポーツ・スナックである。

パンプキンの種は日本でも炒って食べたことがあると思うが、結構おいしいものである。パンプキンの種には亜鉛が豊富で、その他のミネラルとしてはマンガン、リン、マグネシウム、銅、鉄などのミネラルが多く含まれており、タンパク質も多い。最近注目されているチアの種は大昔にはアズテックやマヤ文化では重要な食糧であった。

チアという名前はマヤ語で「強さ」を意味し、チアの種はエネルギーの基とされていた。これが最近アメリカで見いだされ、現在ではスーパーフードの1つとされている。乾燥したチアの種100gには食物繊維が34.4g、脂肪が30.7g(この内オメガ-3-脂肪などの多価不飽和脂肪が23.7g)が含まれており、カリウム、リン、マグネシウム、亜鉛などのミネラルが含まれている。

以上3つのヒマワリの種、パンプキンの種、チアの種が最もよく使われている種で、それ以外には亜麻仁(フラックスシード)、キノア、麻の実(ヘンプシード)、松の種、ゴマなどがある。
種を使った製品では、Anne-Elise Nutrition社の5種類の “Power of 3 Seed Blends” (写真5)がある。生のパンプキンの種、チアの種、亜麻仁、麻の実をベース材料にして、スパイスなどでフレーバーを付けている。“Original”, “Maple Cinnamon”, “Sea Salt Garlic”, “Turmeric Blend”, “Coconut Goji” の5種類のフレーバーで出している。

麻の実とチアの種にはオメガ3脂肪とオメガ-6-脂肪が含まれており、タンパク質も豊富で、体に良い栄養素を全て備えている。これはシリアル、ヨーグルト、スムージー、スープに混ぜる、あるいはサラダのトッピング、その他の料理に混ぜて使える。
種子を最終製品に混ぜることにより、機能性を持たせ健康志向の製品にしたものもある。
例えば、RW Garcia社のスナック・クラッカー(写真6)は、トウモロコシと野菜をブレンドしたクラッカーで、亜麻仁、ゴマおよびチアの種を混ぜたもので、“3 Seed Sweet Potato Crackers”, “3 Seed Kale Crackers”, “3 Seed Sweet Beet Crackers” の3種類を出している。
Benexia社はチアの原料から製品までに特化した会社で、消費者製品として “Seeds of Wellness” ブランドの製品(写真7)を出している。チアの種だけの製品で、グルテン・フリーで、古代穀物、スーパーフード、植物由来タンパク質といった最近の食品市場のはやり言葉を並べてマーケティングをしている。

製品としては “Wake Up” は生の種を殺菌したもので、朝食のシリアルやヨーグルトに混ぜて食べる。ローストした “Chia Crunch” はサラダなどのトッピング用、“Chia Shake” は粉砕したものでシェイクに混ぜるもの、“Chia Baker” は粉末にしたもので、ベーカリー製品に加えられるものである。チア・オイルは、オリーブオイルよりも安定性があり、抗酸化特性や抗炎症性特性を有する。

このように栄養価の高いナッツや種を使った製品は消費者の健康志向に合ったもので、今後も積極的にナッツや種を使った製品を考えられることをお勧めする。
©アメリカ食品産業研究会
著者:吉田隆夫プロフィールを見る
吉田 隆夫 (よしだ たかお)
Takao Yoshida
1968
1968 - 1970
1972
1972 - 1974

1974 - 1985
1985 - 1990
1990
1999
2002
2016
大阪大学理学部化学科修士課程卒
マイアミ大学学術研究助手
大阪大学理学部化学科理学博士取得
シラキュース大学化学科学術研究員
*2010年ノーベル化学賞受賞 根岸英一氏「シラキュース大・根岸研究室」で協働
International Flavors & Fragrances 社 主任研究員
Carlin Foods/Bunge Foods 社国際事業部長
JTC インターナショナル創立
アメリカ食品産業研究会設立
e-食安全研究会設立
クリエイティブ食品開発技術者協会設立


インターナショナル食品安全協会会員、アメリカ化学会員、アメリカ食品科学技術者協会会員-プロフェッ
ショナル・フェロー、アメリカ食品産業研究会会長、e-食安全研究会理事長

学術論文:21(化学学術論文)、技術特許:40以上



e食安全研究会 理事長
アメリカ食品研究会 会長
クリエイティブ食品開発技術者協会 専務理事
理学博士
IFT 認証食品科学士

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