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2018.02.15
スプレッド製品とバターの歴史
マーガリンは1869年にフランスの科学者ヒッポライト・メーゲモリース(Hippolyte Mege-Mouries)がバターに植物油を混ぜて作ったのが始まりである。ナポレオンは価格が高騰していた牛乳から作られるバターの代替え品を発明したものには賞金を与えるという懸賞を出しており、彼はこの発明でその賞を得ている。ナポレオンは当時軍隊の遠征に多くの食料が必要なために、懸賞をだして便利な食糧や安くなる食料を求めていた。缶詰が発明されたのもこのためである(発明者はニコラ・アぺール)。

一般的に植物性油脂には不飽和脂肪酸が多く含まれるために熱に弱く不安定であることから、部分水素添加し硬化した油脂が使われるようになった。不飽和脂肪に水素を一部添加すると飽和度が上がり硬化し、油脂の熱に強く安定性もよくなる。
アメリカでは最も多く生産されている大豆油を部分水素添加し、マーガリンの原料として長く使われてきた。しかしながら、油脂のなかで共役2重結合といわれる2つの不飽和部分が隣接しているところを水素添加すると、1つの不飽和部分になり、それが一部トランス型の脂肪酸になる。このトランス脂肪酸は摂取すると血液中の善玉コレステロールの量を下げ、悪玉コレステロールの量を増やし、血管を詰まらせて心臓病になることが1990年代の研究で明らかにされた。
そのためにアメリカの食品医薬管理局 (FDA) は2006年にトランス脂肪酸の量を栄養表示にリストすることを義務化し、2013年にはFDAは部分水素添加した油脂を食品添加物のGRAS(一般に安全と認められる物質)のリストから削除した。現在ではトランス脂肪酸のできる部分水素添加した油脂は使われなくなった(注2)(注3)。
マーガリンはバターにとってかわったが、1980年代頃から脂肪の摂取が肥満、さらに心臓病の原因であるとして、マーガリンの脂肪を減らした製品が考え出された。ところが、FDAの規則ではバターは牛乳またはクリーム、あるいはその両方から作られたもので、少なくとも乳脂肪が80% 含まれているものとされている。また、マーガリンもFDAの規則で定義されており、80% 以上の植物および/または動物脂肪を含み、オプションとして牛乳、ビタミンA、D、塩、甘味料、乳化剤、保存料、色素などその他の成分からなると定義されている。こうした規則があるために、新しく考え出されたマーガリン様製品はマーガリンと呼べなくなった。そのために、スプレッドという呼び方が一般的に使われるようになっていった。
アメリカでは最も多く生産されている大豆油を部分水素添加し、マーガリンの原料として長く使われてきた。しかしながら、油脂のなかで共役2重結合といわれる2つの不飽和部分が隣接しているところを水素添加すると、1つの不飽和部分になり、それが一部トランス型の脂肪酸になる。このトランス脂肪酸は摂取すると血液中の善玉コレステロールの量を下げ、悪玉コレステロールの量を増やし、血管を詰まらせて心臓病になることが1990年代の研究で明らかにされた。
そのためにアメリカの食品医薬管理局 (FDA) は2006年にトランス脂肪酸の量を栄養表示にリストすることを義務化し、2013年にはFDAは部分水素添加した油脂を食品添加物のGRAS(一般に安全と認められる物質)のリストから削除した。現在ではトランス脂肪酸のできる部分水素添加した油脂は使われなくなった(注2)(注3)。
マーガリンはバターにとってかわったが、1980年代頃から脂肪の摂取が肥満、さらに心臓病の原因であるとして、マーガリンの脂肪を減らした製品が考え出された。ところが、FDAの規則ではバターは牛乳またはクリーム、あるいはその両方から作られたもので、少なくとも乳脂肪が80% 含まれているものとされている。また、マーガリンもFDAの規則で定義されており、80% 以上の植物および/または動物脂肪を含み、オプションとして牛乳、ビタミンA、D、塩、甘味料、乳化剤、保存料、色素などその他の成分からなると定義されている。こうした規則があるために、新しく考え出されたマーガリン様製品はマーガリンと呼べなくなった。そのために、スプレッドという呼び方が一般的に使われるようになっていった。

バターを柔らかくした製品は日本でも見られるが、(写真2)の製品は Land O Lakes社の “Butter with Canola Oil” のソフトバターで、これ以外にもオリーブ油を混ぜた製品も出しており、カノーラ油やオリーブ油の健康さをアピールしている。


こうしたスプレッド製品はスーパーマーケットで多く販売されている。トランス脂肪酸の問題が出てきて、スプレッド製品の健康さに疑問が出されたため、スプレッド製品も現在では部分水素添加した油脂は使用されていないが、その人気は一時落ち込んだ。その反面、バターは最近、その人気が昔のように戻ってきている。
バターは過剰に摂取しなければ、それほど身体に悪いものではなく、かえって体にもいい成分が含まれているということも言われるようになり、最近ではバターを使う人が増えている。
バターは過剰に摂取しなければ、それほど身体に悪いものではなく、かえって体にもいい成分が含まれているということも言われるようになり、最近ではバターを使う人が増えている。
(注1)“Crisco” は以前はトランス脂肪酸が含まれていたが、現在の成分は、大豆油、完全水素添加したパーム油、パーム油、モノ・ジ・グリセライド、TBHQ(保存料)、クエン酸(抗酸化剤)で、トランス脂肪酸は含まれていない。
(注2)トランス脂肪酸は自然にも存在し、動物油脂などにはわずかであるが含まれているので、トランス脂肪酸が禁止されたわけではない。一部のニュースや記事に間違って書かれていることがある。
(注3)油脂を完全に水素添加した飽和脂肪酸だけの油脂の使用はこれまでと同じように食品成分として使用ができる。
(注2)トランス脂肪酸は自然にも存在し、動物油脂などにはわずかであるが含まれているので、トランス脂肪酸が禁止されたわけではない。一部のニュースや記事に間違って書かれていることがある。
(注3)油脂を完全に水素添加した飽和脂肪酸だけの油脂の使用はこれまでと同じように食品成分として使用ができる。
ナッツを使ったスプレッド
上記のスプレッドは油脂を使ったバターやマーガリンが変化したものであるが、ピーナッツを使ったピーナッツ・バター、ナッツからのバター製品もスプレッドである。ピーナッツは古代南米地域で食されており、そのぺーストも使われていたと思われるが、現在のピーナッツ・バターが食べられ始めたのはマセラス・ギルモア・エドソンというカナダ人が1884年に最初に作り、特許を得てからである。
ピーナッツ・バターはアメリカの子供の大好物で、ピーナッツ・バター・アンド・ジェリー・サンドイッチ(P&J Sandwichと書かれることが多い)は今でも多くの子供がランチに学校に持っていく。アメリカで最もよく知られたブランドは “JIF” (写真5)と “Skippy” (写真6)で、クリーミーなものからピーナッツの小片が入ったもの、低脂肪、低塩製品など種々の製品を出している。その他多くのブランドがある。
ナッツ類や種子類は脂肪が多く含まれているので、バターのようなスプレッドを作ることができる。ヘーゼルナッツ・ペーストに砂糖、ココア、脱脂粉乳、香料、乳化剤などの材料を混ぜ合わせた、チョコレート風味の甘いスプレッド “Nutella” (写真7)はイタリアで1940年代に作られたものでトーストやパンにつけて食べられている。
最近ではアーモンド・バターが増えてきている。アメリカはアーモンドの生産では世界トップで、世界の生産量の70% 近くを主にカリフォルニア州を中心に生産している。そのためにアーモンドを使った製品が多く、アーモンド・バターも多くの製品が出されている。Justin’s社はナッツ・バター製品を種々出しており、アーモンドを使った製品では、“Classic Almond Butter”(写真8)、ハチミツ、メープルシロップ、バニラを混ぜたフレーバーを付けた製品も出している。

またヘーゼルナッツ・バターにチョコレートを混ぜた “Chocolate Hazelnut Butter” も出している。さらにこれらのナッツ・バターとプレッツェルを組み合わせた個食サイズのスナック・キット製品(写真9)を出している。この会社はウォールナッツ、カシューナッツなどを使ったスプレッド製品も販売している。
さらに最近では種子を使った製品や、それを混ぜたものもある。例えば、低価格の商品を出すThrive Market社は、ヒマワリの種を使ったスプレッド “Sunflower Butter” (写真10)、ココナッツから作った “Coconut Butter”(写真11) を販売している。Boulder Brands社は “Earth Balance” ブランドで、ピーナッツ・バターとココナッツ・バターを合わせた “Creamy Coconut & Peanut Spread” (写真12)を出している。
その他多くのナッツ・バター製品、種子バター製品、さらにそれらを混ぜた製品などがスーパーマーケットで販売されており、消費者はこうしたスプレッド製品をパン、トースト、クラッカー、野菜スティックなどにつけてその味を楽しんでいる。

©アメリカ食品産業研究会
著者:吉田隆夫プロフィールを見る
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